営業担当として担当する期間
さて、前記事では入行~新人として営業に出るまでを書きました。
ここからは、営業として働く姿を書いていこうと思います。実際に夫が経験したことなので、ウソは書いていないです。多分この記事を見た銀行員は本当にリアルであると共感してもらえると思います。
銀行員3年目からは、1営業担当として、支店の数字を上げる頭数に数えられます。
夫はマメな性格なので、ノルマや評価を半年ごとに振り分けられる業務目標シートなるものを保存していましたので、そちらも公開します。
夫の2支店目は銀行の中でも中の上くらいの規模。大体、営業は2年から2年半かで交代します。これは取引先との癒着を防ぐためであるそうです。
銀行員3年目~4年目の夫の課されたノルマ一覧
・法人貸出金(プロパ融資)→2億8000万円
・法人貸出金(保証協会融資)→1億2000万円
・預かり資産(投信・保険販売手数料)→300万円
・新規取引先開拓→2件
・クレジットカード作成→50P(個人・法人問わず、普通のクレジットは2P、ゴールドは25P、プラチナカードは50P)
・メイン取引→2件(メイン取引先と認められるのは、競合他行と比較して貸出金の割合が6割、かつ給料振込指定先または法人インターネットバンキング契約、現預金が1000万円以上)
こんな感じです。半期ごとに多少は違いますが、大体このくらいの金額でした。
夫の営業ノウハウ
ここでは、実際にやっていた夫の営業ノウハウを紹介します。これは7年勤めた銀行員生活で培ったものとのこで、それぞれ営業スタイルは違いますし、何より、支店内でも他の営業さんと競争させられるので、自分のノウハウは教えないそうです。だから自分で構築していくしかないとのこと。
もう銀行員を辞めてしまっていますし、地域によってはノウハウが使えないかもしれませんので、ご注意を。大前提に、夫の入行していた銀行は首都圏に近い銀行なので、競合他行が複数あります。よって、〇〇県といったらもうここ!!みたいな感覚の地域ではないことをご了承ください。
インタビューしていたら、夫って腹黒いんだなって改めてちょっと引きました笑
期初にやることについて
「なんでも仕事は準備が一番大切だ。取引企業の貸出金需要がいつあるのかを把握しておくだけでだいぶ違う。」と夫は語っています。
準備できるのは基本的に貸出金、新規取引開拓先、メイン取引先くらいです。預かり資産については、「どこで、だれに、いくら」と個人相手で予想はできないので、あまりしていなかったとのことです。法人相手なら事業保険手数料があったので、ある程度予想はできますが、時間がかかるものなので。
期初は取引先の決算書を見て、いつ取引先の会社は運転資金が必要なのかノートにまとめていました。また、経常的に発生する融資案件(例えば賞与支払いのための手貸)も忘れないようにしていました。
また、決算書にはどこの銀行からいくら借りているか記載されています。決算書によっては金利まで書いているので、この既に他行で借りているお金を借換融資するためににノートにまとめていました。
あとは会社によって「格付」と呼ばれる、各企業相手にどの程度の融資金利が案内できるかというものがあるので、各取引先の格付を表にし、漏れの内容直近の格付作業を徹底ていました。
新規取引開拓については、新規なので情報がありません。唯一、帝●データバンクである程度の業績を調べ、突撃する方法。これしかないそうです。これは夫しか多分していないと思いますが、競合他行でも他に新人さんが営業に出ている先があるので、競合他行の近くに張っていて、その新人さんにバレないようにどこに行っているか動向を確認するらしいです。新人さんがまず行くところは基本メイン銀行になるので、夫は銀行とは取引がない企業でもありますから、そこに突撃してメイン銀行としてあぐらをかいて油断している他行から借換をして新規開拓。という性格が悪い手法をやっていたそうです。探偵みたいなことしてるんですね。
ほかにも社長の誕生日や家族構成はある程度まとめておきます。これも役に立ちます。業績がいい会社はそもそもお金を借りる必要がありません。借りるとしたら設備資金くらいです。よって、親交を図り、「しかたないなあ」と借りてもらうよう、普段から誕生日やこんな情報があるよ、みたいなことをしていると「普通の銀行員の夫くん」ではなく、「知り合いの夫くん」にランクアップします。
人間、赤の他人の営業マンより、知り合いから言われたほうが心を開きますもんね。理には適ってます。「社長、誕生日近いので、記念に3,000万円借りてくださいよー」という意味がわからない営業でも「普段からよくしてくれる夫くんの頼みだもんなー仕方ないなー今回だけだぞ」こうなると借りてくれることもあるそうですよ笑
一日のやることがない閑散期とかにあえて会社に訪問し、夏休みで会社に遊びに来ている社長さんの息子さんと一日キャッチボールをした、とかもあるそうです。
また、銀行はなぜか「最初」を大事にします。あるキャンペーン商品が始まって、まずは取ってこいとなりますが、そこから動いたのでは、最初には案件を取ってこれない。だからこそ、仕込んでおくということも大切だと学びました。やはり支店で最初に案件を取ってくると上司からは褒められますしね。毎期毎期、次の期の仕込みもしておくとも夫は言っていました。
入行3年目~4年目
3年目~4年目についてはH支店で同じ営業エリアでした。2年目の半年からなので、合計2年6カ月担当として持ちました。
融資の金額までは目標シートにかいてなかったですが、新規取引先開拓は合計8件開拓してたみたいです。
その中でも印象に残ったのは、大口で預金はあるものの、無借金経営先の企業に融資をしたこと。
ある工業地帯の一角を担う企業で、社長さん個人でも預かり資産(投信)の取引はあるのに、社長の「融資を受ける必要はないくいの業績、流動性預金はあるので、融資は必要ない。」とのことでいままでずっと取引が無い先でした。
ここでは私もよくわからないので割愛しますが、融資を受けられるなら、融資を付き合いで一本はあった方が企業のためになるそう。本当かよくわかりませんが。夫は二日に一回は訪問し、融資以外の世間話や事業保険等、なんでも相談に乗っていたとのことでした。
また、半年で支店同士の競争がありますが、なんと支店全体のノルマで新規取引先開拓ができていなく、大ピンチ。最下位ということはなかったのですが、それさえクリアできればなんとか同クラスの支店の中で1位を取れる業績でした。
融資案件の需要は相変わらずなかったものの、支店長とのクロス外交でなんと社長が「銀行自体は俺は嫌いだけど、夫くんの熱意は伝わった。銀行とは融資取引をしたくはないけど、夫くんとなら取引をするよ。」とついに3,000万円の融資案件に取り付けたのでした。
社長の気が変わらないうちにと稟議書をその日に作成し、支店長の決裁をもらい夜22時。さすがにその時間に社長の自宅まで行くのは失礼なので、翌日に契約をしに行こうと思いました。
翌日。
「妻にも話したけど、3,000万円借りるのは利子も含めてもったいないと言われてしまったよ。300万円なら借りるわ。」とのことでした。その時は金額ではなく、とにかく新規の融資先を増やすことが1番の目的だったので、ありがたく、300万円で契約をし、実行。昔ながらの職人気質な社長ですが、やはり奥様には弱いんですね。
まあなんやかんやで、夫の取引により、支店は1位になり完全になりました。もともと営業担当は2年~2年半年で異動なので夫は異動となりました。最後に社長にあいさつに行くと「俺はこの前も言ったけど、銀行は晴れた日には傘を貸してきて、雨の日に傘を取り上げる。だから、銀行は嫌いだ。だけど、夫くんは嫌いじゃない。またH支店に戻ってこい。その時は300万円の少ない金額ではなく、3億円借りてやる。」とぼそっと言われたのでした。
あんなに辞めたい辞めたいといってた銀行業務ですが、この支店長のおかげで、銀行業務が楽しくなったのと、とても成長させていただきました。
その支店長の口癖は「楽しく、そして厳しく。」で、まずはなんでも楽しまなければいけない。楽しくなければそれは、やらされているのと同じだ。だから「厳しく、そして楽しく。」ではなく、先に「楽しく」なんだ。とのことでした。また、その支店長は漢気のある方で、下員が困っていたら、一緒に困って、守ってくれる。そんな人なのでから好かれていたと思います。ちなみに銀行員生活をしていて、このように「いい人・尊敬できる人」は夫はこの支店長だけだと言っていました。他の人は「とにかく、自分のことばかり。というか銀行員って性格が悪くないとやっていけないと思う。だって人をだますような仕事しているし、なにより、陰湿ないじめがこの時代なのに多いしね。少し頭がいいから余計に。えらい立場になればなるほど、パワハラ・セクハラもすごいし、昼休憩(昼ごはん)を食べないことが美徳みたいな人が多いわ。」と言っていました。
その支店長は今は銀行を出向したした先で役員となっています。これからも応援しているとのこと。
さあ次の記事は夫くん3店舗目です。
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